真夏の砂漠へ
2月26日から始まる神戸の展覧会を前に、真夏の砂漠Alice Springsへ行ってきました。
昨今ではインターネットでアボリジニアートが購入できる時代。
でも、私はやはり”現場”を自分の足で訪れて”どきどき”する作品を見つけたい。だから常に砂漠を訪れる。
そして目の前で制作しているアーティストと共有する時間がこれまたたまらない。
”これだ~~~!!!”という作品に巡りあえたときにはそれこそ魂がぐるんぐるん揺さぶられちゃうんだ。
片言の彼らの「英語」と片言の私の「ルリチャ語」で会話は立派に成立する。困ったことは一度もない。
ときどき「こーにー。こーにー。(←日本語ではよし、よし・・・っていう意味かな)」と言いながら頭も撫でてくれたりする。
「裸足のアーティスト」たちに会いに市内のスタジオへ。一日中彼らの制作を見続けた。
「上手に描こう」とか「評価されよう」なんていう本人たちの作為的な思いが微塵もないからオモシロイ作品が生まれるんだろうな。
ふと、自分が座った横に置きっぱなしにしてしまった携帯電話。すかさずそれを手にしてどこかに電話をしている彼女。手は絵の具だらけ。よくみると顔にも絵の具がついている。
「どこにかけてるの?」そう尋ねると「まい、ふぁみりー、ふぁみりー」と彼女。
「ふぁみりーはどこに住んでいるの?」
「ろおおおんぐ うぇい あうぇい 《LONG WAY AWAY》」
そこは距離でいうと1500キロ離れている小さなアボリジニ居住区だった。おまけに彼女はその居住区にたった1台だけある公衆電話にかけているのだ。誰が受話器を取るかはわからない。取った人間に「まい、ふぁみりーと話をさせろ」と彼女が言えば「はいよ。ちょっと待ってろや」といちいちその彼女のふぁみりーの家まで伝えに行くたまたま公衆電話の近くを通りかかっただけの通行人アボリジニ男性。もちろん電話は彼女のふぁみりーがやって来るまでずーっとつながったまま、そのままだ。あたしの電話、なかなか返してもらえない。
こんなやりとりがアボリジニの人々の社会では日常茶飯事です。
アボリジニの画家にとって絵画制作はいわば仕事中。
・・・・いいのか!こんなにデーンっと横になってて。いびきもかいているじゃないか!!!
アリススプリングスでは実にいろいろな画家たちに出逢う。
スタジオで熱心に制作をするアーティストもいれば道端で観光客相手に今夜の晩御飯代のためだけに絵を売るアーティストもいる。たまたま通りがかった私が呼び止められた。ちょっと話をしてみたいと思ったので座り込んで一緒におしゃべり。
最初はほんのちょっとだけと思いきやこれがなかなかオモシロかったので気が付くと1時間ずっと話し込んだ。
豪州で「現代(いま)をわたしたちと一緒に生きる」アボリジニの人たちのナマの声を日本人である私が少しでも発信したいと思うのは・・・・・ただのエゴか?
実は今朝から理由のない頭痛に襲われていた。まあ、ここは連日気温が40度以上。きっと熱射病にかかったんだろう、と水をがぶがぶ飲んでだましだましいたところ・・・・・
道端でアボリジニアートを販売していた女性の旦那だという男性が私を見るなり「頭が痛いだろう」といっていきなり自分の手を私の頭にかざしてきた。
ええええええ~~~~!!!????なんでわかったのぉ~~~?????
やっぱり存在したんだ。ブッシュドクター!!!
アボリジニの人たちは自分達の感情にとても「深く」「まっすぐ」な人たち。だからおかしいときには人目も構わず大声でゲラゲラあっはっはー!これだけ笑えりゃ彼らの身体の免疫力は上がりっぱなしだろうになぁ。
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神戸・GALLERY 北野坂
アボリジニアート展
2013.2.26(火) – 3.3(日)
11:00 – 18:00 (最終日17:00)
詳細はこちら。