ウォーター・ドリーミング Water Dreaming

クランシー・ジャンガラ・ワトソン

地球上で最も水が乏しい場所だと言われるオーストラリア・中央砂漠。アボリジナルの人々はそんな水一滴ない乾燥した大陸で遥か5万年もの間、農耕や家畜を行うことなく狩猟採集社会を営みながら全て野生のものだけで生き長らえてきた。

水のありかを知ること、それは自分たちの命と直結する砂漠ではこのうえない大切な情報である。図案からも読み解けるように、この絵画のストーリーはまさに「恵の水」を探すための地図。文字を持たない無文字社会で生きたアボリジナルピープルにとって水場の位置を確実に伝達する術は文字の代わりとして歌や絵画で行ってきたのである。