今でこそ文明にどっぷりと漬かった生活をしているアボリジニたちですがもともとは狩猟採集民であったため現在においても時折仲間を集ってハニーアント(蜜アリ)やウチティグラブ(ボクトウ蛾の幼虫)を積極的に採集しに行っています。道路標識も何もないところで彼らは地図も持たず確実に獲物のありかを見つける能力を持ち常に大地に感謝をしながら自分たちとのつながりを確認します。

一粒のアリを見つけるのに自分の身体が埋まってしまうほど細い一本の棒でひたすら土の中を掘りあさります。蜜アリはまさに濃厚なハチミツの味。お尻のところを舌で軽くつぶすとまるでイクラのような食感で口いっぱいに広がる甘い蜜は格別な味わいです。

また、人に話すと必ず「ウエェ~。気持ち悪い」と言われる蛾の幼虫ですがこれは砂漠で採れる唯一の蛋白源でアボリジニたちの大好物。自分の手のひらの上で動いている白い物体をそのまま口に入れる瞬間はまさに涙ものではありますが我々日本人が刺身を食べるのと全く同じ発想です。当然ですが水のない砂漠で魚は手に入りませんから砂漠の民は“魚”をこれまで見たことがない人がたくさん。ですから刺身を彼らも食べ物とは認めていません。食文化の違いがこんなにもおもしろいだなんて。