投稿者: landofdreams

  • アボリジニアートフェア in 広島 6月23日−7月29日



    広島のインテリアショップ「クラージュプラス」にて今年もアボリジニ絵画展を開催いたします。
    シンプルで機能的な北欧家具と、オーストラリアの自然の大地が描かれたアートとのコラボレーション。
    今回は古老が描いたものを中心に40点以上を展示します。
    6月23日(土)・24日(日)には店頭におりますのでお声をお掛けください!

    期間:6月23日(土)〜 7月29日(日)午前10時〜午後7時まで
    入場無料

    クラージュプラス
    広島市中区西川口町7−7
    TEL:082-234-5333
    http://www.courageplus.com/


  • モリーン・ナンパジンパ 初来日!!! 「愛と涙の日本滞在26日間」

    たとえ環境が変わろうが彼女の滞在中はとにかくあるがままで・・・・そのままで・・・・の日々でした。人間、本当はこれが一番大切なんだろうね。

    初めて手にした念願のパスポート。しかしながら出生記録がどこにもなかった彼女。取得がかなり困難でした。そこでやっとパスポートを手にしたのがな、なんと日本出発の4日前。
    最後の最後までヒヤヒヤもんでした・・・・・

    生まれて初めてのエステ体験。あんまり気持ちがよかったのか、施術中ぐぅぐぅいびきをかいて爆睡してました。びっくりしたのは友人エステシャン。モリーンの肌があまりにもツルツルでとても驚いていましたっけ。


    記念に着物を買ってあげようとお店に連れて行くやいなや・・・・片っ端から試着三昧。確固たる自分の好みをしっかり主張してました!

    とにかく眠くなったらソファーからはみ出そうが・・・どこででも寝る!いいねぇ。自然体だねぇ。。。

    日本までの長時間フライトで何から腰が痛いというので電気やへ行って最新マッサージ機に初挑戦。自動で機械が動くたびに叫び声を上げて店内を賑わせていました。

    滞在中に日本語のレッスンも。自分の名前をまずはカタカナで。あと会話では「コンニィチィワァー」と「アルィグゥアトゥオー」を覚えました

    とにかく眠ければたとえテーブルの上だろうがどこでも寝る砂漠の女王。いいねぇ。。。一度マネしてみたいねぇ。。。。

    学校訪問しました。子供が大好きなモリーンは始終ハッピー!でご機嫌でした。もちろん子供たちも大興奮。いつか、オーストラリアへいらっしゃーーいって全員に声をかけていましたっけ。

    モリーンの絵画はいつでもどこでも大人気。今回は各所でライブペインティングを実施しました。絵が描き終わるやいなや、価格も聞かずに購入される方が続出。さすがでありました。

    毎日盛りだくさんだった日本滞在26日間。始終アテンドに明け暮れた私もたくさんのことを彼女から学習しました。滞在中の喧嘩は3回。ランチにオオトカゲが食べられないと彼女の機嫌が悪くなったことが原因のひとつでした。もしも砂漠でこの喧嘩をしたら私は間違いなく太ももを槍で刺されていたに違いありません。喧嘩が・・・日本で・・・あぁヨカッタ。

  • アボリジニアート展 11月1~6日@神戸・ギャラリー北野坂

    ギャラリー北野坂でのオーストラリア・アボリジニアート展は今年で5年目を迎えます。

    その記念すべき企画展になんと8000キロ離れたオーストラリア中央砂漠からアボリジニの女性アーティストが初来日。見事な絵画制作の実演をぜひギャラリーでお楽しみください。

    皆様の来場を心よりお待ちいたしております。

    日時:
    2011年11月1日(火)~6日(日)
    11:00am~6:00pm(最終日は5:00pmまで)

    場所:
    ギャラリー北野坂 http://www7.ocn.ne.jp/~kitano/
    神戸市中央区山本通1-7-17 WALL AVENUE 2F
    JR/阪急/阪神三宮駅/地下鉄4番出口より山側へ徒歩10分(地図
    TEL/FAX 078-222-5517

    ギャラリー北野坂 企画展開催5周年記念
    ”アボリジニ女性画家、モリーン・ナンパジンパ初来日!!!”

    画家暦20年。広大なオーストラリアの大地をそのまま思い起こさせるような美しい作品を描きます。ギャラリーでは毎日ライブペインティングをお楽しみいただけますのでぜひお誘い合わせの上お越しください。

  • アボリジニアート展 9月10日~10月2日 東京代々木上原・ギャラリー上原

    早いものでギャラリー上原でのアボリジニアート展も今年で6年目を迎えました。

    日頃、新しいモノづくりに追われがちな現代社会で暮らす我々がいつの間にかどこかへ置き忘れてしまった“こころの忘れ物”を気付かせてくれるアボリジニアート。豪州の中央砂漠で一点一点慎重にセレクトした作品が今年も会場で皆様をお待ちしております。

    この機会にぜひお出掛けくださいませ。

    期間: 9月10日(土)~10月2日(日)
       12:00 ~ 19:00 (会期中 水曜休)
    会場:ギャラリー上原
       東京都渋谷区上原1-21-11 BIT 代々木上原Ⅱ 1階(地図
       TEL/FAX 03-3467-3932
       http://www.gallery-uehara.com
    主催:LAND OF DREAMS、ギャラリー上原
    後援:オーストラリア大使館、オーストラリア政府観光局、ノーザン・テリトリー政府観光局

  • アボリジニアートフェア 7/16~8/7 広島市中区・クラージュプラス

    7月16日(土)より8月7日(日)まで、広島市中区のインテリアショップ、クラージュプラスでアボリジニアートフェアを開催します。

    期間: 7月16日(土)~8月7日(日) 10:00am ~ 7:00pm
    会場:クラージュプラス(広島市中央区)

    アボリジニ文化を紹介するトークショー開催!

    7月17日(日) 10:30~
    予約制/定員30名

    クラージュプラス
    広島市中区西川口町7-7
    TEL: 082-234-5333
    http://www.courageplus.com/


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  • ご心配をいただいている 大切な皆様へ

    日本で大変なことが起こってしまいました。

    震災5日目。毎日毎日各地での死亡・行方不明者の増え続ける数が報道されるのを耳にするたびに言葉にならない悲しみでいっぱいです。

    皆様にはたくさんのご心配メールや、お見舞いのお電話を頂戴し心から御礼を申し上げます。すぐにご返事を差し上げたかったのですが茨城の我が家も被災したため昨日まで停電しており電源の確保がままならなりませんでした。

    しかし何とか電気が通ってくれたおかげでこうしてメールができる環境になりました。有難いことです。

    現在、水道はまだ通っておりません。

    それでも家族全員の無事を確認できたこと、そして全壊は何とかまぬがれた

    我が家で何とか生活ができることに感謝せずにはいられません。

    3月11日。その日わたしは金沢から仕事を終えて、丁度東京駅に到着をしたその直後の地震でした。そのまま実家のある茨城へ高速バスで帰るつもりでしたので都内に宿は取っておらず、少し時間があるからと駅に直結している大丸デパートの大好きな食器売り場をふらちとのぞいていたそのとき。。。

    足元が少しぐらぐらしている・・・・・あ、地震だ。でもすぐにおさまるだろう。

    と、まったく緊張感のないまま食器売り場をうろうろしていたところ突然立っていられないほど大きな揺れに思わずその場にしゃがみ込んでしまいました。

    同時に、食器棚から次々にガチャン、ガチャンという音を立ててお皿やグラスが落ちていく光景はまさに「恐怖感」でいっぱいでした。

    おまけにそこは大丸の8階。揺れは一段と大きなものでした。

    その後係員の迅速で的確な指示のもと、非常階段で全員店外へ非難。

    8階から1階まで降りるのには混雑もあったせいか10分ぐらいかかった記憶があります。

    その10分間、実に様々なことが頭の中をよぎりましたが意外と冷静沈着だったような気もします。

    でも、大変なドラマが展開されたのはそこからでした。

    突然大都会を襲った大地震直後。当然ながら交通は全面ストップ。あの東京が瞬時にして凍結しました。

    すぐに家族に携帯から電話を試みるも、それがなかなか・・・・というかほとんど通じない。

    みんな、イライラしながらも公衆電話を懸命に探しそこまで我先にと猛ダッシュ。

    瞬く間に何百メートルもの長蛇の列が公衆電話にできました。

    皆様。これだけ携帯電話が当たり前になった今の世の中・・・・

    街のどこに公衆電話があるかご存知でしょうか。

    ダッシュするなんて高校時代のバレー部以来。ということで、私は公衆電話には走らず(というか、走れず)近くのコンビニでポータブルの充電器と乾電池1パックを購入し何とか電源を一時的にも確保。最後に残っていたひとつを掴み取りました。

    いったいこれからどうなるんだろう・・・

    そんな不安を抱えながらもとにかくどこへも動けない状況でしばし呆然と立ち往生していました。これは私だけではなく東京駅周辺にいた何千人という人たちがみな同じであったことはいうまでもありません。

    外はだんだんと暗くなって気温も一気に下がりました。

    家族にやっと電話が通じたのはそれから何時間も経ってからのことでした。

    が、まずは全員無事であるという確認に心の底からの安堵感を覚えたものです。

    しかし、茨城県もまさか今回の震源地のひとつとなっていたとは。

    近くにテレビもなかったため情報の入手が不可能でした。

    電話による父親からの話では自宅の塀が見事に崩れ落ち、台所は割れた食器でめちゃめちゃ。玄関の大きな水槽ふたつも倒れ熱帯魚がみんな溢れかえったというではありませんか。

    「早く家に帰りたい」

    そう思っても何しろ交通手段がひとつもありません。

    おまけに今晩泊まるところもありません。あの日は東京中のホテルすべてが

    瞬く間に満室になったようです。

    砂漠の熟女。野宿は慣れっこ・・・・

    しかしそれはオーストラリアの中央砂漠での話です。

    まさか大都会東京のど真ん中で野宿を体験するとは夢にも思っておりませんでした(笑)

    でも、ほかに選択の余地はまったくなし。

    おまけに、路上で途方に暮れている日本語のわからないたくさんの外国人たちが私の目の前でみなオロオロしているではありませんか。中にはあまりの恐怖で号泣している女性もいました。

    もちろん、声をかけました。そして現在の状況を精一杯説明しました。そしてそれぞれのお国の家族へまずは無事だという知らせを入れるよう・・・かろうじで通話が可能だった私の携帯を貸して安心をしてもらいました。

    来月の電話請求書が怖いこわい。

    そんなこんなでやっとの思いで茨城の実家に帰れたのは地震発生の2日後。

    現在は家族とともに暮らしています。

    こんなときこそ前向きに気持ちを明るく持って・・と自分に言い聞かせてはいますがさすがに少しくたびれてきました。

    地震によって起こった原発もいまや深刻な状況です。周りの知人たちにはすでに西へ避難している人たちがいます。

    我が家はいまのところこのまま家に残ろうという方向でいますが今後どうなるかは正直言ってまだ頭がうまく動いてくれません。

    まずは落ち着かなくちゃ・・・

    しかしながら現実的に、身障者の兄やほとんど寝たきりの母を連れていったいどこまで避難できるのだろう・・・・・そんなことが頭をよぎっています。

    大丈夫。大丈夫。

    なるようになるだろう・・・なんて言ってる場合ではありませんが何とかしましょう。今日もこれから家族会議です。

    新しいモノづくりに追われている今のニッポン。

    しかしこうなってみると何て脆弱な文明に私たちは翻弄させられているんだろうと実感しました。

    多少不便でも・・・・人間らしく生きていく必要があるはずだと、いま私たちはとても大きな学習を強いられているような気がします。

    アボリジニの人たちの「地球が怒っている」という言葉を思い起こしました

    どうか皆様、これからもわたしとこころをつなげていてください。

    お願いします。

    皆様とつながっていられると思えることが私はとてもうれしい。

    長くなりましたがまずは無事のご報告まで。

    ご自愛下さいませ。

                            2011年 3月17日     

                            内田真弓 茨城自宅にて

  • 内田真弓 無事です!

    ご心配の皆様、日本滞在中の内田真弓の無事が確認されましたのでお知らせいたします。
    Those who concerns, Mayumi Uchida is safe and sound.

    message from Mayumi Uchida.
    “Desert woman still alive. She really missing for camping, so she camped at Tokyo station last Friday with 3 degree!”

  • 神戸でオーストラリア アボリジニアート展開催 2010年11月9日~14日

    ウォーター・ドリーミング
    「ウォーター・ドリーミング」
    ショーティー・ロバートソン・チャンガラ
    61cm x 90cm

    今年で4度目となる神戸・ギャラリー北野坂でのアボリジニアート展。年々アボリジニアートファンの層が増える中、今年もたくさんの魅力的な作品を皆様にご紹介します。
    一点、一点、オーストラリアの中央砂漠から厳選にセレクトしてきた作品ばかりです。
    誰もをたちまち魅了するアボリジニアートをこの機会にぜひ!ご覧くださいね。

    私も毎日ギャラリーにおります。いつでも遊びにいらしてください。そしてアボリジニアートの魅力をたっぷりとお話させてください。
    皆様のお越しを心からお待ち申し上げております。

    アボリジニアートプロデューサー
    内田真弓

    内田真弓企画 オーストラリア・アボリジニアート展
    2010年11月9日(火)~14日(日)
    会場: ギャラリー北野坂
    神戸市中央区山本通1-7-17 (地図
    http://www7.ocn.ne.jp/~kitano/
    11:00~18:00(最終日17:00まで) / 会期中無休

    ブッシュ メディスン
    「ブッシュ メディスン」
    グロリア・ペチャラ
    60cm x 120cm

  • 九州国立博物館でアボリジニアート展開催

    ティンガリ・サイクル
    ヤラヤラ・ギブス・チュンガライ  「ティンガリ・サイクル」 55cm x 58cm

    九州で初のアボリジニアート企画展!しかもいま話題の九州国立博物館での展示ということで興奮もひときわ高まります。ここぞとばかりに秘蔵のプライベートコレクションを一挙大公開。
    6月5日、6日には会場でアボリジニアートのセミナーも予定しておりますのでどうぞ皆様お誘いあわせのうえお越しください。楽しみにお待ち申し上げております。

    ### 奇跡の芸術アボリジニアート展
    ―5万年の伝承― Aboriginal Art Exhibition 2010

    エアーズロック近郊の岩
    ビル・ウィスキー 「エアーズロック近郊の岩」 40cm x 90cm

    日時:
    平成22年6月1日(火)~6日(日)
    午前9時30分~午後5時 [入館は4時30分まで]

    場所:
    九州国立博物館 1Fロビー
    福岡県太宰府市(地図・アクセス

    主催:
    在福岡オーストラリア総領事館

    共催:
    Art Space Land of Dreams/(有)スワンバレイインク/ノーザンテリトリー政府観光局

    お問い合わせ:
    在福岡オーストラリア総領事館 TEL 092-734-5055
    (有)スワンバレイインク TEL 0942-46-3220 http://www.swan-valley.net

    ### 特別講演会

    6月5日(土) ・6日(日) 14:00~15:30 (1時間30分)
    会場: 1F 研修室 (入場無料:先着70名) 当日受付
    1 部 「15分で分かるオーストラリア」
    2 部 「アボリジニアートの魅力」
    講師: 内田真弓 (Art Space Land of Dreams)

    食物採集の旅
    ワランクラ・ナパナンガ 「食物採集の旅」 60cm x 90cm
    ブッシュメロン・ドリーミング
    ミニー・プーラ 「ブッシュメロン・ドリーミング」 90cm x 122cm
    ランピンチャ(聖地)での食物採集
    タタリ・ナンガラ 「ランピンチャ(聖地)での食物採集」 60cm x 90cm
  • 第100回

    皆様、新年明けましておめでとうございます

    …と、オレ様ここぞとばかり、ついでにもひとつ「おめでとう」を言わせていただきたいことがある(胸を張って。そして鼻の穴も大きく広げて)

    なんと、なんと、この新年号で、オレ様の「裸足のアーティストに魅せられて」の連載がめでたく100回!!を迎えるのであるううううううう。

    まあね。それが一体どうした…と言われりゃそれまでであるが、やはりこれまで100回もコツコツと真面目に原稿書いてきたという、オレ様のつつましい努力を、この場をお借りして、ぜひ自分で称えたいと思ってる。

    そこで、時計の針がまだ午後3時を差していない真っ昼間から、冷蔵庫の中の冷たい白ワインを開けて、ひとり祝杯をあげている。金がないので、シャンペンなんて高級モノは我が家の冷蔵庫には存在しない。そして、もちろん手酌だ。手酌する人間は出世しないと、周りの人間から以前、さんざん忠告されたことがあったが、自宅で寂しく、ひとりぼっちで起業しているオレ様は、誰が何と言おうと立派な社長なのだから、これ以上出世なんてする必要はひとつもない。だから、毎日手酌で酒をがぶがぶ呑んでいるのである。

    ところで…100回というと、おおよそ過去何年間ぐらい書き続けてきたのだろうかと、オレ様の複雑な頭で単純計算をしてみた。すると100回÷12ヶ月=8.3年という数字がひとまず出るが …根っからの怠惰なオレ様のことである。8.3年間も、毎月毎月、欠かさず原稿を提出していたわけがない。いつも締め切りギリギリのその日に、慌ててパソコンの前に正座して、一生懸命ネタを考えているぐらいだから、時折「ごめんなさい! カンニンしてください。今月はどうか休ませてください。いててて…あれ。変だな。急に吐き気をもよおしてきた。ひょっとしてつわりかな」と想像妊娠のふりして、編集長様に頭を下げたことだって1度や2度ではないのだから。

    そうなると間違いなく過去通算10年以上は、この「伝言ネット」様とのお付き合いがある計算になるわけだ。これまで実に何人もの人から、 「ドラゴンネットいつも読んでますよ」とか、 「はだかのアーティストに魅せられて、おもしろいですよね」とか、言われ続けてきたオレ様であるが、この際、「竜ネット」でも「素っ裸を見られても」でもなんでいいと思っている。何よりも、この1ヶ月に1度のオレ様コラムを、長いこと楽しみに読み続けてくださっているという方々からの心強い声援が、たまらなく大きな力になっているのだから。どこか見えないところで、オレ様が確実にたくさんの方々と繋がっていると思えることに、ともいえない興奮を覚えるのだから。

    そこで今回、100回目の記念すべき原稿を書くに当たって、それじゃあ第1回目は、一体何を書いていたのだろう…? と、ふと思い、てっきり、それを自分のパソコンに保存しているものと信じ切っていたオレ様は、どこをいくら探しても、その第1回目の原稿が見当たらないことに、さぁ大慌て。きっとまた酔っ払って、うっかり削除してしまったのだろうか。(先日、いくら探しても見つからなかった展覧会の招待状が、数日後、冷蔵庫の野菜室から出てきた事実あり)それとも10年前となると…当時は、オレ様がまだうまくパソコン使えなくて、もしかしたら手書きでファックスで原稿送ってたか??? なんてことも十分に考えられる。恐ろしい。10年前の記憶が、おもしろいように飛んじまっている。

    しかし、今でも鮮明に覚えていることがある。当時、そうそれは10年前のことだ。メルボルンの市内のアボリジニアートギャラリーに、日本人スタッフとして勤務をしていたある日、ちょっと小柄の1人の日本人男性がギャラリーのドアを開けて、ぬぬぬぅぅぅーっと入って来て、オレ様にこう話しかけたのだ。 「あのぉーー。僕、メルボルンで『伝言ネット』という月刊誌を発行している者なんですけどぉーー。もしよければ、アボリジニのことについて、ちょっと原稿を書いてもらえませんかねえ」と、いきなりこうだ。

    「んんんまぁーー! お声をかけていただいて、どうもありがとうございます。でもなぜ私が?」とオレ様、心の中では「このあんにぃ、一体ナニモノだ?」と怪しく思いながらも、いつものインチキ営業スマイルで少し様子を探る。すると、大きな黒いちょっとボロボロになっていたカバンから、そのアンニィが取り出してオレ様に見せてくれたものは、ピンク色したペラッペラの4枚つづりの、これまで見たことがない冊子だった。表紙には変わった字体で「DENGON NET」と書かれていた。

    「…はぁ?」

    オレ様は、その時点でも、いまひとつ状況がつかめず、ちょっと不思議そうな顔をしてみた。もちろん、インチキ営業スマイルは忘れずに。その後、どんないきさつが我々の間に交わされたのか、正直よく覚えちゃいないのだが、結局オレ様は当時、誌面を通して、オーストラリアの先住民が持つ深遠なる文化とその歴史、そして彼等の稀に見るユニークなアートをメルボルン在住の日本人の皆様に、1人でも多くご紹介をしていきたいという、たったそれだけの願いから、この伝言ネットの連載を始めることにしたことは間違いない。

     たかが10年。されど10年。この10年間で、実に様々な変化が訪れた。いまやインターネットというテクノロジーのおかげで、オレ様のこのコラムが、世界中の人々に読んでいただける環境となったのだ。そう。だから今度は、メルボルンだけではなく、世界中の見知らぬ方々から、たくさんのメールをいただく機会に恵まれたのである。

    そして、昨年は、この記事を読んだという日本の出版社から、「本を出してみる気はありませんか?」との申し出を受け、あれよあれよという間に、今度は本を出版するまでに至った。「夢の印税生活。老後はこれで悠々自適さ」の夢もはかなく、どうやらこの本、原稿執筆にあれだけ苦労したにもかかわらず、ちっとも売れていないようだ。今頃は、きっと出版社の倉庫にホコリまみれのまま、山積みされてスヤスヤ眠っていることだろう。そのうち焼却処分になっちまうことだろう。そうならないうちに、さっさと自分で買い取った方がいいのかなあ。ため息ついて貯金の残高を確認するオレ様、これだけは10年前とちっとも変わっちゃいないようだ。

    そもそもオレ様が16年前にオーストラリアへ来なければ… アボリジニアートに出会っていなければ…そうなると当たり前だが、全く違う人生を送っていたはずだ。

    初めてこの広大なオーストラリア大陸に足を踏み入れた 1994年。オレ様は、ボランティアの日本語教師として、当時、人口わずかの小さな小さな村に派遣をされた、たった1人の日本人だった。到着するやいなや、たどたどしい英語の単語を一生懸命並べて、ホストファミリーへ一生懸命に自己紹介をした。すると、「よし、今日は日本からのゲストが来たから、久し振りに夕飯は外食しよう!」とホストパパが気を遣ってくれたのか、そんなことを言ってくれた。年に何度も外食をしない子供達は、もう喜びのあまり、気が狂ったといわんばかりに家中を駆け回っていたのを、今でもはっきりと覚えている。そして、その晩、連れて行ってもらったのが、隣町のマクドナルドだった。

    さすが世界のマクドナルドだ。こんな田舎町にもちゃんとあった…なんて、そんな感動するわけない。何たって、オーストラリアに来て、オレ様が一番最初に口にする夕食なんだぞ。「食べきれないほどのジャンボステーキ」とか、「ガイド本に載っていたフィッシュアンドチップス」とか、一応それなりに想像したいではないか。

    「何でも好きなものをお食べ」と、今にも入れ歯がはずれそうなしゃべり方をするホストパパ。本当は腹ペコだったので、ビックマックを2つほど注文したかったが、当時まだ遠慮という奥ゆかしさというか、恥じらいを持っていたオレ様は、小声で「じゃあ、フィレオ・フィッシュお願いしまちゅ」と、もじもじしながらそう答えた。

    「ほほおーー・オーストラリアに来て、すぐにフィッシュが食べたくなるのか。やはり日本人だなあ。おや? すでにホームシックかい?」と笑った拍子に、今度は本当に入れ歯がはずれそうになったホストパパのあの顔は、オレ様、今でも決して忘れてはいない。

    それにしてもオレ様、どうして記念すべきこの100回目に、こんな昔のことを書いているのだろうか。どうやら手酌の白ワインが随分効いてきたようだ。

    結局何が言いたいかというと、まったくひょんなことから南半球メルボルンに来ることになったことから、自分の人生が180 度ひっくり返り、そこから自分の人生のシナリオを一生懸命書きなぐってきたということだ。シナリオでの主役は、オレ様。しつこいようだが、社長も兼任している。今後も、ますます手酌の機会が増えそうだ。

  • チビッコ天使

    またまたアボリジニ村へ行ってきた。今回はいつもより少し長い滞在となった。これといった娯楽施設があるわけでもないアボリジニ居住区で、オレ様が一体何をして毎日を過ごしているか、皆様、ちょいと、ご興味ありませんかね?

    まあ、そんなもん関係ねーやと言われれば、それまでではありますが、それでも勝手に書き綴らせていただきまする。中年オンナは人の話を聞かなくなるというのは、どうやら本当のようだ。アボリジニ居住区では、いつ誰とどれぐらいの期間滞在するかによって、毎回することが異なるのであるが、今回はたった1人で(最近はほとんどそうであるが)訪問したため、何の制約も責任もなく、やりたいことをやりたいときにやりたいだけ自由にできた、実に快適な毎日だった。

    さて、そんなことは言ってもだ。好きな洋服が買えるショッピングセンターや、とびきりおいしいカクテルを出してくれるお洒落なバーがあるわけでもない、ましてや携帯もインターネットも繋がらない場所でオレ様が「やりたいこと」って一体なんだ?

    たいてい、アボリジニ村滞在中のオレ様は、腕時計をはずしている。別に重要なアポイントがあるわけでもないので、時計の必要性はほぼ皆無だからだ。それどころか、日頃、「時間」に縛られているオレ様には、時計なしの生活は、このうえない解放である。
    アボリジニのおばちゃん達と狩りへ行く時だって、「いつ行こうか?」というオレ様からの問い掛けに、せいぜい「モーニングタァァァイム(午前中)」とか「アフタヌゥゥゥゥゥゥゥゥーン(午後)」の返答が返ってくるだけだ。
    「モーニングタイム」と言われても、それが午前8時なのか11時20分なのかは、誰も問わない。それゆえ、おいていかれちゃぁ、さあ大変! とオレ様、出発は今か今かと、彼等の様子を始終探っている。電信柱の影からじーーーっと、しかも何気なく張り込むオレ様。その姿は、まるで日本の写真週刊誌のカメラマンのようだ。

    そう、だからアボリジニ村では、時間によって自分の行動が制約されることはまずない。
    はじめのうちは、そんな生活に大きな戸惑いを覚えたオレ様だったが、それも段々と慣れてくるもので、慣れてくるどころか、快感にさえなってくるのだから不思議なものだ。そういえば一度、こんなことがあった・・・。
    日本の知人が、どうしてもアボリジニ居住区で、しばらく生活したいというので、一緒に連れていったところ、「さあ、もう12時だからお昼ご飯にしましょう」と言うので、「お腹が空いたんですか?」とオレ様は何気なく聞いてみた。すると「いや、特に。でも我々の職場では、いつも12時がメシ時なんでね・・・」と、だから今日も当然そうしなければならないんですよ、みたいな空気をいっぱいかもし出しながら、その知人は言った。

    ほほぉ~。人間の習慣というのは怖いものである。こうして日常のルーティーンで、無意識に「やらねば」という観念に捉われてしまうんだからね。しかしながら、ここは真っ赤な大地とうっそうたる木々があっちにもこっちにもあって、360度地平線が見事に見渡せる、オーストラリアの砂漠の、ど真ん中なのである。野営便所で用を足すのである。うっかりするとヘビにおしりをがぶりとやられるところなのである!!!
    だからこそ「ここではいつも習慣でやっていることを思い切って全部無視してみませんか。頭で考えるのは、この際やめてみましょうよ。“こころ”と“からだ”がありのまま欲することに従って自然にいきましょう。大丈夫。大丈夫。おもしろいじゃないですか。チャレンジですよ! チャレンジ」と、何だか深層心理カウンセラーになったかのような、オレ様の発言に、友人はやや怪訝そうな顔をしながらも何とか賛同した。

    まぁ、時間の概念も習慣も、このアボリジニ居住区では、これまで自分が抱いていた勝手な「定義」がおもしろいように崩れるのだが、それを自分がいかに楽しめるかどうかが、そこでの滞在充実度を大きく左右するのだと、オレ様は10年以上この居住区に通って痛感している。これ、絶対ほんと。
    だから、アボリジ二居住区では物質的な遊び道具がなくてもこうして「自分の価値観ギャフン度」なんていう、いい加減なテーマを作って、毎日それはそれは楽しく過ごせるのである。

    そもそも価値観というのは、幼少の頃からの自分を取り巻く環境に、とても大きく影響されるとオレ様は思っているが、このアボリジニ居住区で暮らすチビッコ達と一緒に遊んでいると、実に彼等の心が透明だということに気付かされる。とびきり丸くて大きな瞳で、じぃーーっと見つめられると、オレ様はもうメロメロになっちまうのだ。彼等の価値観は、今後どのように培われていくのだろうか。
    「おい。ナカマラ(オレ様のスキンネーム)! おまえ、ジャンプできるか?」と尋ねられれば、「はい。はい。何度でも」と言われるままにピョンピョン跳ね続けるオレ様。それにしてもなぜジャンプなのだろう…? いやここではそんなムズカシイ理由を追求するのは邪道だ。だからオレ様はピョン、ピョンとひたすらジャンプを続行した。

    思い起こせば以前、オレ様はイモムシ狩りの途中、熱射病で干し上がって、熱でしばらく動けなくなり、ウンウンうなされたことがあった。その時、アボリジニ村中の子供達が次々とお見舞いに来てくれて、口々に「ナカマラ、大丈夫か。苦しいか?」、「何か欲しいものはあるか?」、「もうこの村が嫌いか? 帰っちゃうのか?」と言いながら、とても心配してくれた。中には、緑色をしたアリを「これを食べれば良くなる」と、見舞に届けてくれた子もいた。オレ様、今まで赤い色をした蜜アリは食べたことはあったが、緑色のアリはまだ一度も口にしたことがない。どう見ても栄養があるとは思えない。かなり躊躇した。ひとつつまんで(その時点では、まだアリ様は生きていらっしゃった)、とりあえず口元まで持っていってみたが、やっぱりダメだと断念し、オレ様はしばらく死んだフリをした。咄嗟に考え付くことが「死んだフリ」だとは、何と乏しい発想なのだろうと自分でも呆れ返ったが、緑色のアリを食べるよりはまだいいだろうと一生懸命死人になり切った。

    そんなこんなで、アボリジニ村での楽しい過ごし方は、実にたくさんあるということをご理解いただきたい。

    現状に満足を覚えられず、何か新しいものを模索したくて、うずうずしている皆様よ!
    たとえあっちこっちへと遠回りをしてもかまいませぬ。まずは「何か」新しいことをやって、思いっきり「ギャフン」と言ってみようではないか。そうすれば、そこから必ず、新たな発見があるはずだからね。

    何はさておき緑色のアリを食べたことのある方、お便りください。お待ちしております。

  • 内田真弓プロデュース アボリジニアート企画展

    エミリー・プーラ 65cm x 83cm ボディ・ペイント デザイン
    エミリー・プーラ 65cm x 83cm ボディ・ペイント デザイン
    02
    ミチェリ・ナパルラ 60cm x 60cm 聖地ウワルキ

    ギャラリー北野坂での企画展は今年で3度目です。新作をたくさんご用意しています。オーストラリアの大地そのものを大いに感じることができるアボリジニアート展にぜひいらして下さい!

    また展示会期間中、神戸はアートビエンナーレが合わせて開催中!異国情緒溢れる神戸でぜひこの機会にアート三昧されてみてはいかがでしょうか?

    03
    グロリア・ペチャラ 76cm x 123cm ブッシュ・メディスン

    日時:
    2009年11月3日(火)~8日(日)
    11:00am~6:00pm(最終日は5:00pmまで)

    場所:
    ギャラリー北野坂 http://www7.ocn.ne.jp/~kitano/
    神戸市中央区山本通1-7-17 WALL AVENUE 2F

    お問い合わせ:
    TEL&FAX 078-222-5517


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  • ひゃ~! ラッキー

    人間の知恵ではどうすることもできないとても不思議なもの…それが「運」だとオレ様はいつも思っている。
    「あなたは強運の持ち主です」と以前ある占い師から言われて、意味もなく有頂天になったことがあったが、それでも自分が「不運」だと思うことも時折ある。

    不運だと思う時なんてのは、ものすごく落ち込むし、この世からもうさっさとおさらばしたいとすら思ったりする。そんな時は、とびきりおいいものをたらふく食べて一時の満足感を覚えるとか、家のローンの残高も省みずにパーーーッとお金を使っちゃうとか、いろいろと方法はあるのだが、それが心から満たされていないと感じる時には、単なる消化不良を覚えるだけである。
    オレ様、そんなときはかえってより一層虚しくなる。
    運が良いとか悪いというのは努力次第、本人の気持ち次第、つまり非常にメンタルな部分に近いものだという人がよくいるが、「運」というのは、オレ様にはそれよりももっと大きなもの、すなわち超常的なものだと思えてならない。

    ひとつの例を挙げよう。

    オレ様の現在の一番の活動内容、いわゆるライフワークなるものは、豪州先住民、アボリジニの人達の稀にみるユニークな芸術の日本における啓発なのだが、そうは言っても、まだまだ認知度の高くないアボリジニアートを、日本ですんなり受け入れてくださる方はそう多くないのが実情だ。つまり啓発にはやたらと時間がかかるということである。

    それでも続けることに意義アリと勝手に独自の哲学を持つオレ様は、これまで一度もギブアップしようと考えたことはなく、それどころか自分自身が益々アボリジニの人達に惹かれていく現実、そして必ずや多くの人達に価値を認めてもらえるといった変な自信すら覚えてきたものだった。

    オレ様は現在1年に2~3度のペースでアボリジニアートの企画展を行っており、今年も6月に10日間ほど東京の「ギャラリー上原」で開催した。
    今年で4年目となったこのアボリジニアート展も、今ではすっかりこのギャラリーでの恒例の展示会となり、1年に1度だけ東京で開催するこの展覧会には、毎年遠方からもはるばると、たくさんのお客様が押し寄せて来る。

    しかしながら、皆様ご存知の通り、昨年からの世界的な経済危機によって「美術品は売れないよ。何たって嗜好品(贅沢品)だからね」と、展覧会の開催前には、周りの友人知人達から随分と警告を受けていた。
    ギャラリーのオーナーですら「内田さん、うちのギャラリーで、今年は絵が全く動いていません。コレクター達がさっぱりギャラリーに足を運ばないんです」とぼやいているほどだった。

    しかしながら、オレ様はどういうわけだか心配はひとつもなかった。それどころか、根拠なき自信のようなものが身体中をみなぎっていたほどだ。

    というのも、企画展開催に向けてメルボルンから日本へ出発する飛行機の座席が、どういうわけだかワンランクアップグレードされた。「ひゃ~!ラッキー」とただ無邪気に喜ぶには大きすぎる、とても快適なフライトとなった。

    そして日本に到着した日は、オレ様の43歳の誕生日の前日だった。せっかくのバースデー。どこかで楽しく過ごせやしないかと以前から気になっていた宿をインターネットで申し込んでいた。そこはとびきり人気のある宿らしく「抽選で10名様限り!」と書かれていたので、実はあまり期待をしていなかったのだが、到着するやいなや「おめでとうございます。当選しました」との電話をもらった。しかも価格は「景気に負けるなキャンペーン!」とやらで、インターネット表示価格を思いっきり無視して、な、なんとたったの¥500だったのである。

    東京都心ではアイスコーヒー1杯も飲めない価格だ。それが1泊¥500でしかも2食付き。
    ここまでツイていると少し怖くもなった。何だかオレ様には今、目に見えない力が宿っているのでは?と思えてならなかったからだ。この先、すべてがバラ色一色のようになる気がはっきりとしたのだから。

    案の定、不況、不況、絶対売れないと言われ続けた今年のアボリジニアート展は、まわりの懸念に大いに反して、すこぶる良好な売り上げであった。連日、ギャラリーはたくさんのお客様で大賑わいだったのだ。
    というのも、ただでさえ元気のない今の世の中。オーストラリアの広大なる大地から生まれたエネルギーいっぱいのアボリジニアートで、たくさんのパワーをもらいたいという人々の願いが、うまく販売に繋がったというわけだ。
    この運気、どうせなら長期の定期で貯金できやしないものかと真剣に考えるが、いかがなものだろうか。

    さてさて。全くの余談で恐縮なのだが、19歳になるオレ様の甥っ子が、今年めでたく「日本相撲協会」に入門し、現在、序二段として懸命に日々の稽古に励んでいる。
    50以上もある部屋から彼は「錦戸部屋」を自分で選んだ。錦戸親方といえば、オレ様の同郷、茨城県水戸市出身。元「水戸泉関」として人気を誇った関取である。その親方が、実は大の絵画ファンだというではないか。何やらご自身が現役を引退された後、真剣にフランスへ絵画留学へ行こうとまで考えられたらしい。

    まだご覧になったことがないというアボリジニアート展へ、ぜひお越しいただきたいと招待状をお送りしたところ…開催2日目、早々に会場へお越しくださった。
    身長190センチの大柄な親方がギャラリーに入って来られるやいなや、その場に居合わせた他のお客様が「わぁ~~っ!」と歓声を上げ、次々に携帯のカメラで親方を撮影し始める。日曜日だったことから家族連れのお客様も多く、ギャラリーは大賑わいであった。
    しかも親方は、新弟子である私の甥っ子までギャラリーにお連れくださったのだった。ああ・・・おばちゃん、大感激。

    何しろ甥っ子が相撲界に入門すると決めて以来、携帯電話は禁止だし、最低1年間は自宅に帰ることも許されず、毎日厳しい稽古と「ちゃんこ当番」だと聞かされていたもんだから、久しぶりに会う甥っ子の姿に、ただ、ただ感激するばかりだったのだ。「少し、痩せたね」と甥っ子にそうっと問い掛けたが、親方の前では、きっと私語も慎まなければならなかったのか、彼はオレ様に深々と一礼するだけだった。思い起こせば、ついこの間までゲームに夢中だった高校生の彼が、今や力士として人生の立派な学習を自ら行っている現実を、大いに評価したいと心からそう思った。

    運の神様へ。
    さっきのオレ様の運の貯金を、ぜひこの甥っ子に分けておくんなさいませ。
    いつの日か彼が横綱の座を射止めた際には、オレ様の老後の面倒もきっと見てくれるはずだから。
    未知なる彼の将来に大いに期待したい。

  • ローズマリー

    今日はアリススプリングスに戻る日だ。久し振りに訪れたマウント・リービック(オーストラリア中央砂漠のアボリジニ居住区。アリススプリングスから西に360km。人口およそ300人。オレ様が10年通っている第2の故郷)はいつもと変わらぬ温かい人達でいっぱいだった。それでも、いつもオレ様をかわいがってくれていた長老達が、他界していなくなったという、どこか異なる空気、ちょっと虚無感に近いものを感じた、今回の滞在であったことは言うまでもない。

    アリススプリングスからマウント・リービックへ訪ねる時に、最近はほとんど1人で行くことが多い。まあ、同乗者がいればもちろん心強いし、運転も代わってもらえるので体力的にも楽チンではあるのだが、時折おしゃべりに夢中になってしまって、道端にひっそりと、奥ゆかしく咲いている野生の花に気付かなかったりしてしまう。それに比べて、1人で、真っ直ぐな道を何時間も運転するのは、確かに孤独感を感じることがあるが、それはそれでまた楽しいものでもあったりするのだ。

    人にはほとんど出会うことのない、乾燥した砂漠の1本道。うっそうと生い茂る木々を眺めながら、どこを見回しても真っ平らで堂々としている大地に、自分の身をふと預けたくなる瞬間。また、世界の大部分が空であることにも気付かされる驚き。自分の好きなCDをガンガンかけて、時速140kmでぶっ飛ばすあの快感は、何とも言えないものだ。おまけに、ニクタラシイ野郎の顔を思い浮かべながら「○○のばーーーか!」とか「△△のデーーーブ!」とか言っちゃったりもするが、これは孤独な独身オンナのストレス解消法だと、どうかお許しいただきたい。

    一度だけパンクで立ち往生したことがあった。
    その時は車の中で一夜を過ごして、真夜中に出没した砂漠の動物達と、仲良く一緒にお茶を飲みながら、世の中の経済状況について談義したりした・・・らきっとおもしろかっただろうに。
    音という音はまるで聞こえない。唯一自分の声だけである。もちろん話相手がいないために、今日1日誰ともしゃべっていないことに気付くオレ様。時々「あーーー」とか「うーーー」とかつぶやいて、自分がちゃんとしゃべっていることを確認したりする。耳に言葉がちゃんと聞こえてきて、妙な安心感を覚えたりするのだ。

    でも、どうして発声をするときに人はいつも「あー、あー」って言うのだろう?(←でも、これってもしかしてオレ様だけか?)「ペー、ペー」とか「ルー、ルー」じゃ駄目なのかしら。そんなどうしようもないことだって、砂漠ではなぜか楽しく思える。

    周りの人からよく、「そんなところで1人ぼっちだなんて。孤独じゃないの? 怖いでしょう?」と聞かれる。もちろん不安はいつもいっぱいだし、このまま明日も明後日も人に会わなければ、そろそろ「遺書」ぐらいは書いておいた方がいいかもしれない、と真剣に考えたりするんだからね。

    さて、今日もアリススプリングスへ1人で戻ることになるのか、と思いながら、出発前の車点検をしていた時、1人の女性がオレ様に近付いてきた。「私を一緒にアリススプリングスへ連れて行って欲しいの」そう言ってきた彼女は、これまであまりマウント・リービックでは見かけない顔で、オレ様も個人的にはあまりよく知らない女性だった。しかし、これもまた何かの縁だろうとオレ様は、彼女のオファーを快諾し、「じゃあ、後で家まで迎えに行くから待ってて」と、自己紹介もしないまま点検を続けた。

    名前も知らない彼女と、アリススプリングスまでのドライブ。順調に運転しても4時間半はかかるだろう。まさか、途中で噛み付かれたりはしないだろうな・・・。多少の不安を抱きながらも、時間になったので、オレ様は彼女を迎えに家へ向かった。

    元々『時間』の概念が、我々とは異なるアボリジニの人達である。通常、オレ様は狩りに行く時には、しつこく何度も時間を確認するが、ことごとくドタキャンされることが多い。なのに、彼女はちゃんと旅支度をして、オレ様が来るのを、自宅の前でしゃがんで待っていてくれたのには少したまげた。彼女はオレ様の姿を見るなり「ちょっと見せたいものがあるから家の中に入って」と言い出す。さては、このまま家に閉じ込めて身ぐるみはがされるんじゃないだろうな・・・。孤独な独身オンナは、ついつい悲観的に物事を考えがちになるので気を付けなければならない。

    恐る恐る入った彼女の家は、家具こそは何もなかったが、わりときれいに掃除がされていて、壁には家族の写真が、あっちにもこっちにもたくさん貼られていた。彼女がオレ様に見せたいと言ってくれていたのは、そのたくさんの写真だったのだ。

    「この人が私の叔父さん。あっちは従兄弟の3番目の子供で、その隣が義理の母の妹の姪っ子なの」と、全員の名前を教えてくれたが、とても覚えられる人数ではない。というよりもオレ様は、彼女の名前さえもまだ聞いちゃいない。

    ローズマリー。彼女の名前だ。顔に似て何とも愛らしいと思った。

    さあ、そろそろ出発しようかと、彼女の荷物を運んであげようと思ったが、その荷物がどこにも見当たらない。これから1週間はアリススプリングスで滞在をするというのに、なんと彼女は手ぶらで出掛けるという。ありゃーっ!! よく見ると靴も履いていないではないか。ちなみに所持金ゼロ。オレ様も、これほど身軽に旅に出たいものだと真剣に思った。

    ローズマリーとのアリススプリングスまでの車中4時間半は、いつになくとても楽しい時間であった。ついさっきまで全く知らなかった人が、今は不思議なくらい「こころ」がつながっていると思えてならない。

    街に到着して、腹が減って死にそうだという彼女と、マクドナルドに入ってジャンボバーガーを一緒に食べた。所持金ゼロのくせに、ポテトのビックサイズも食べたいと言い出すローズマリー。「しょうがねーなー」と言いながら、オレ様はコーラも付けてあげた。もちろん、ダイエットコークをね。アボリジニの人達と一緒にいるオレ様は、いつもとても楽しいと心の底から感じる。彼女達も同じように感じてくれることを願ってやまない。

    ちなみに、ローズマリーは、前日に刑務所から出所したご主人に会いに、アリススプリングスまでやって来たらしい。ご主人の顔を見るやいなや、オレ様がそばにいたので、ちょっと照れくさそうにしながらも、熱く抱擁したローズマリー。ぜひまた会いたい女性の1人である。

  • 講演のお知らせ – 7月13日・椙山女学園大学 国際コミュニケーション学部

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    ##講演 「裸足のアーティストに魅せられて」

    『幸せは自分のハートが決める』をテーマにこれから自分たちの進路を決定する女子短大生の皆さんに私が日本を脱出してからオーストラリア先住民アボリジニの人々との運命的な出逢いまでを熱くトーク!
    他の誰のものでもない、自分の人生のシナリオは自分で綴っていきましょう。間違ったらその部分を消しゴムでゴシゴシ消しちゃっていいんです!という自分の体験談を交えた海外での暮らしをたっぷりお話いたします。

    場所
    : 名古屋 椙山女学園大学 国際コミュニケーション学部

    日時
    : 2009年7月13日(月)

    時間
    : 16:00~